新しい医療技術は、実用化までどれくらいかかるのか?
今回取り上げたいのは、iPS細胞を用いた再生医療製品が日本で世界初の承認を取得したというニュースです。https://www.nikkei.com/article/DGKKZO94853620W6A300C2TB0000/
住友ファーマのパーキンソン病向け神経細胞製品と、大阪大学発スタートアップのクオリプスによる心筋細胞シートが、厚生労働省から条件・期限付きで製造販売承認を取得しました。iPS細胞由来の医薬品としては世界初となります。
iPS細胞が報告されたのは2006年。
そこから約20年を経て、ようやく臨床で使用される段階に到達しました。
このニュースは、再生医療の進展を示す一方で、新しいモダリティが社会に実装されるまでの時間軸の長さも示しているように思います。
細胞医療は、細胞そのものが体内で増殖する可能性があるため、安全性の評価が極めて重要になります。
そのため、今回の承認も「条件・期限付き承認」という形で行われ、市販後のデータ収集を通じて有効性と安全性を確認していく仕組みになっています。
近年、遺伝子治療やRNA医薬、細胞医療など、従来とは異なる新しいモダリティが次々に登場しています。
しかし、その多くは基礎研究の成果がそのまま臨床応用につながるわけではなく、長い時間をかけて安全性や製造技術、規制制度などを整備しながら実用化に至ります。
科学のブレークスルーがすぐに医療のブレークスルーになるわけではありません。
技術の進歩と同時に、制度や社会の受け入れ方もまた進化していく必要があります。
今回の承認は、iPS細胞という技術の到達点であると同時に、再生医療が社会に定着していく長いプロセスの新たな一歩とも言えるのかもしれません。
皆さんは、このような新しいモダリティの実用化の時間軸をどのように感じますか。