知財・R&D・life scienceのAI実装を考える「PatSnap Frontier Conference Japan 2026」を開催

PatSnap最新AI Agents、知財・R&D・life science領域におけるAI活用事例、API/MCPを通じた業務実装など、多岐にわたる話題を提供

2026年6月23日(東京)、6月25日(大阪)にて「PatSnap Frontier Conference Japan 2026」が開催されました。東京・大阪の2会場で、合計200名以上の方にご参加いただきました。本カンファレンスでは、知財、研究開発、life scienceの各領域で進むAI活用をテーマに、国内外の専門家およびPatSnapチームが登壇し、最新動向や実務への応用について議論しました。

生成AIやAIエージェントの進展により、知財・R&D業務は「検索する」「要約する」段階から、「意思決定に使えるインテリジェンスを、業務フローの中でどう活用するか」という段階へ移行しつつあります。当日のプログラムでは、AI時代の知財組織の役割、R&Dにおける早期判断の重要性、life science領域におけるデータとワークフローの進化、そしてPatSnapのAI Agents、API、MCPを通じた業務実装の可能性が共有されました。

会場全景(東京)
会場全景(大阪)
受付(東京)
受付(大阪)
司会
休憩時間
会場全景(東京)
会場全景(大阪)
受付(東京)
受付(大阪)
司会
休憩時間

開会挨拶・基調共有

Guan Dian
Guan Dian
PatSnap 共同創業者兼アジア太平洋地域ゼネラルマネージャー

開会にあたり、Guanは、R&Dおよび知財部門を取り巻く環境変化について、PatSnapが実施したグローバル調査の結果をもとに紹介しました。市場投入スピードの重要性が高まる一方で、R&D予算の多くが市場投入に至らないプロジェクトへ費やされていること、また開発後期にIPリスクが発覚することで大きな損失が生じることを指摘しました。

さらに、AI活用が分析やモデリングなどの実行層に偏りがちな現状に触れ、今後は「どのテーマに投資すべきか」「どの段階で撤退を判断すべきか」といった意思決定層へのAI活用が重要になると述べました。PatSnapはR&Dと知財を統合的に捉え、顧客ごとの業務に組み込まれるAIソリューションの実現を目指していることが示されました。

Navigating ASEAN's Opportunities: Teamwork and Trust in the Age of AI

Alfred Yip氏
Alfred Yip氏
Director, IPOS International

IPOS InternationalのYip氏は、ASEAN地域の成長可能性と、AI時代における知財の役割について講演しました。ASEANは若い人口構成、拡大する中間層、デジタル・グリーン分野への産業シフトを背景に、企業にとって重要な市場となっています。

講演では、AIが膨大な情報を意思決定に変える力を持つ一方で、最終的な信頼と判断は人間に委ねられることが強調されました。知財は一社・一部門だけで完結するものではなく、特許庁、企業、技術パートナーが協働する「チームスポーツ」であるという視点が共有されました。

生成AI × 知財のこれから – 特許検索・分析担当者の仕事はどう変わるのか

野崎 篤志 氏
野崎 篤志 氏
株式会社イーパテント 代表取締役社長/知財情報コンサルタント®

野崎氏は、生成AI時代における知財情報業務の変化について講演しました。生成AIの進化により、検索式作成、公報査読、要約、分類付与、レポート草案作成といった従来の作業は大きく効率化されつつあります。一方で、FTO調査における調査範囲の設計やリスク判断、事業部門への説明など、人間が担うべき領域の重要性は変わらないと指摘しました。

特に、これからの知財担当者には、単なる情報処理ではなく、問いを立てる力、調査設計力、AI出力を検証する力、事業・R&Dに翻訳する力が求められると述べました。生成AIの活用により、知財情報業務は「作業」から「設計・判断・意思決定支援」へとシフトしていくという見通しが示されました。

イノベーションを飛躍させる、AI時代のPatSnapの取り組みとビジョン

Charry Chu
Charry Chu
PatSnap AP Japan GTM&CS シニアディレクター

Chuは、AI技術のトレンドとPatSnapの最新の取り組みを紹介しました。近年、AIモデルそのものの性能差だけでなく、業務データ、ワークフロー、評価、監視、ガードレールを含む実行基盤の設計が重要になっています。汎用AIから、特定領域に深く入り込むVertical AI、さらにAgentic AIへと進化する流れが説明されました。

PatSnapでは、Analytics、Eureka、Data Serviceなどの製品群にAI技術を組み込み、特許調査・分析、life science、材料、R&Dなどの業務を支援しています。Eureka Super Agent、Hiro Mode、PatentBench、API/MCP/Skillsなどの紹介を通じて、単発のAI回答ではなく、再利用可能な業務プロセスとしてAIを実装していく方向性が示されました。

生成AIで進化する知的財産活動 – 知財インテリジェンスで事業貢献へ

齋藤 匡史 氏
齋藤 匡史 氏
ダイキン工業株式会社 テクノロジー・イノベーションセンター 戦略室 兼 知的財産部

IP・R&D分科会では、ダイキン工業株式会社の齋藤氏より、生成AIを活用した知的財産活動の取り組みが紹介されました。ダイキンでは、知財部員、AI人材、AI専門家が協働し、知財課題を抽出したうえでAIツールに落とし込み、効果検証、ツール化、全社展開へとつなげる流れを構築しています。

また、PatSnapのHiroを活用したSWOT分析やポジションマップ作成など、特許情報と周辺情報を組み合わせた分析例も紹介されました。齋藤氏は、生成AIは知財人材がより高い価値を出すための武器であり、AI時代だからこそ、人には課題を見極め、問いを立て、事業に本質的な価値を提供することが求められると述べました。今後の知財部門は、技術者や事業部門と伴走し、能動的に提案する存在へ進化していくことが期待されます。

Analytics・Eureka IPのアップデートとユースケース

Charry Chu
Charry Chu
PatSnap AP Japan GTM&CS シニアディレクター

続いて、IP・R&D分科会ではPatSnapのAnalyticsおよびEureka IPの最新アップデートが紹介されました。Analyticsでは、AIタイトル・AI抄録、セマンティック検索、AIによる関連性比較、AI検索式作成、AIクレームチャート、AIタグ付け、AI生成カスタムフィールド、検索式変換など、知財調査・分析を支援する機能が拡充されています。

新たなHiro Modeでは、検索結果ページ、ワークスペース、特許詳細ページなどからAIによる読解・推論・戦略分析が可能となり、従来の特許データベースが「検索・閲覧ツール」から「読解・推論・戦略分析ツール」へ進化する方向性が示されました。Eureka IPでは、新規性調査、FTO調査、Design FTO、特許出願、Office Action Responseなど、知財業務の主要プロセスを支援するAI Agentsの活用が紹介されました。

「機能」を核にEurekaが開発者をパワーアップ

緒方 隆司 氏
緒方 隆司 氏
株式会社アイデア

株式会社アイデアの緒方氏は、「機能ツリー」「Eureka AI」「Eureka Skill」を組み合わせたR&D課題解決プログラムについて講演しました。R&D現場では、開発プロセスの属人化、開発者の多忙さ、汎用AIだけでは業務に十分適用しきれないことなどが課題となっています。

緒方氏は、対象システムを「機能」に分解してAIに入力することで、AIが構造や意図をより正確に理解できると説明しました。さらに、Eureka Skillによって、用途探索、商品企画、TRIZ課題解決、コストダウン、特許強化、リスク回避といった目的別プログラムを再利用可能な形で実行できることが示されました。AIを単なる判断者にするのではなく、人間の確認・修正ポイントを残しながら活用する設計の重要性も共有されました。

PatSnap EurekaとHiroを活用することで、機能ツリーを起点にした分析・発想・リスク検討を、個人の経験に依存しすぎない再現可能なプロセスへ近づけられる可能性も示されました。

製薬企業におけるDX・AIエージェント活用の実践

大手製薬企業 デジタル部門担当者
大手製薬企業 デジタル部門担当者

life science分科会では、国内製薬企業における生成AI活用とAIエージェント導入の取り組みも紹介されました。講演では、生成AIを全社員が日常業務で活用できる基盤技術と位置づけ、ガイドライン整備、ユーザー教育、経営層の理解促進、部門横断での利用環境づくりを進めてきた過程が共有されました。

PatSnap Eurekaについては、豊富なデータ基盤、ドメイン特化型LLM、自然言語で利用できるUIが評価され、複数部門での活用構想につながっていることが紹介されました。R&Dテーマ探索、治験プロトコル分析、創薬提携先の探索、競合動向分析、KOL調査など、創薬・事業開発の中核業務にAIエージェントを活用する方向性が示されました。

life science領域における最新アップデート

Chen Gengbo
Chen Gengbo
PatSnap life science Senior Product Manager
森山 友子
森山 友子
PatSnap カスタマーサクセス, GTM&CS, APAC

life science分科会では、Chenおよび森山より、life science統合プラットフォーム(Synapse・Bio・Chemical・Eureka LS)の最新情報と活用事例が紹介されました。利用者のニーズは、単に文書や情報を検索することから、根拠を追跡しながら意思決定に使える成果物へと変化しています。

Eureka LSでは、Super Agent、Lead Compound Analyzer、SAR Extractionなどが紹介され、Chemical、Bio、Synapseの各領域でも、文献情報のWorkspace保存、配列アラインメント結果のエクスポート、抗体CDR識別、Drug-Sequence-Patent関係性データ、臨床試験情報の自動収集、HCP・KOL探索などの機能強化が共有されました。

また、Pulseによる常時モニタリング、LS Notebookによる分析結果の再現・共有、SARデータの構造化など、life science領域でもAIの出力を検証可能なデータ資産として活用する方向性が共有されました。

life science領域におけるAPI・MCPの活用と事例

Kurt
Kurt
PatSnap AI Transformation Center
砂押 その子
砂押 その子
PatSnap Head of life science

Kurtおよび砂押からは、life science領域におけるAPI・MCPの活用と事例が紹介されました。PatSnapは、SaaS型データベースとしての価値に加え、AI Agents、MCP、Skills、API/DataFeedを通じて、顧客企業の個別ワークフローに組み込まれるAIネイティブなプラットフォームへと進化しています。

講演では、WIPO PATENTSCOPEの次世代シーケンス検索を支えるデータ基盤、発明プロセスに組み込まれたNovelty Search AI、CDMO/CROにおける競合インテリジェンス、ライセンス機会探索のためのアセット・ポートフォリオ評価、臨床試験計画、臨床開発成功率分析および承認可能性予測など、多様なユースケースが紹介されました。

APIやMCPにより、PatSnapの専門データと顧客企業の社内データを接続することで、AIとの対話を通じて新たなインサイトを得るだけでなく、社内システムや意思決定プロセスに直接組み込む可能性が示されました。

パネルディスカッション:R&Dを加速するAI活用の現在地とこれから

パネルディスカッション
パネルディスカッション

全体セッションの最後には、登壇者によるパネルディスカッションが行われました。ディスカッションでは、生成AIやAIエージェントの導入が進む一方で、多くの企業では「導入したツールをどの業務フローに組み込み、どこで人が判断するのか」を設計する段階にあることが共有されました。

登壇者からは、AIを単なる検索・要約ツールとして使うだけでなく、調査、分析、仮説構築、レポート化、意思決定支援までの流れに組み込むことの重要性が語られました。特に、R&Dや知財の現場では、担当者ごとに属人化しがちなプロセスを分解し、AIに任せる部分と人が確認・判断する部分を明確にすることで、スピードと再現性の両立が可能になるという意見が示されました。

また、PatSnapのドメイン特化型AIやAI Agentsを活用することで、特許・文献・技術情報を横断的に参照し、これまで見落とされがちだった技術示唆やリスク情報を早期に把握できる可能性にも触れられました。最後に、AI時代においても人間の役割は小さくなるのではなく、問いを立て、結果を検証し、事業にどうつなげるかを判断する方向へ高まっていくことが確認されました。

閉会

今回のPatSnap Frontier Conference Japan 2026では、知財・R&D・life scienceの各領域において、AI活用が実験段階から業務実装の段階へ進んでいることが多角的に示されました。

共通していたのは、AIの価値は単なる効率化にとどまらず、より早い段階で、より質の高い意思決定を支援する点にあるということです。そのためには、信頼できるデータ、根拠を追跡できる仕組み、人間の判断を組み込んだワークフロー設計、そして社内システムとの接続が不可欠です。

PatSnapは今後も、知財・R&D・life science領域におけるイノベーションインテリジェンスの進化を支援し、お客様がより高度な意思決定に注力できる環境づくりを推進してまいります。

セッション終了後には、軽食と飲み物を囲む懇親会も実施されました。登壇者と参加者が意見交換を行い、知財・R&D・life science領域におけるAI活用について交流を深める機会となりました。

当日ご参加いただいた皆様、ならびにご登壇いただいた皆様に心より御礼申し上げます。