Patsnap Frontier Conference Japan 2025を開催
Patsnap最新AI Agents、各社知財業務におけるAI活用事例など、多岐にわたる話題を提供
2025年9月9日、東京・新橋にて「Patsnap Frontier Conference Japan 2025」が開催されました。本コンファレンスは毎年開催されており、今年で第二回目となります。知財分野の最前線情報を提供するとともに、Patsnapとユーザー間の交流を深めることを目指しております。
今年のカンファレンスは、AI技術の進展に伴う知財分野の変革をテーマに、130名を超える業界関係者が参加しました。
当日のプログラムでは、業界の先駆者に、AI活用における実践事例や知財環境の変化に対する考察などをお話しいただきました。また、Patsnapチームからも製品の最新動向を紹介しました。今年のコンファレンスも、情報豊富な交流の場となり、新しい発見や考えを皆様にお届けすることができました。
本稿ではその内容の一端をご紹介します。
開会挨拶

GuanDian Patsnap 共同創業者兼アジア太平洋地域ゼネラルマネージャー
開会に先立ち、グァン・ディアン氏はPatsnapが世界2500社のトップR&D企業の3分の1以上、日本のトップR&D企業300社のうち87社に利用されている実績を紹介し、参加者の方々の信頼とサポートへの感謝を述べました。また、Patsnapが知財・イノベーション分野にAIエージェントを導入した先駆者であることに触れ、具体的な導入事例を紹介し、AI活用の実効性を示しました。
AI時代における経営と知財組織の変革 ~地政学リスクを踏まえて~

長澤 健一 元キヤノン株式会社 専務執行役員/知的財産法務本部長/取締役、現 株式会社IPエージェント 顧問
生成AIの登場や地政学リスクの拡大により知財制度が揺らぐ中で、知財部門は単なる権利管理ではなく、経営戦略と結びついた長期的視点からの価値創出が求められると指摘。特許制度の軋みや経済安全保障の動向を踏まえ、知財を経営に資する存在へと昇華させる重要性や、人材育成の必要性を強調しました。
Eureka: AI AGENTシリーズ 新登場
~探索から保護までイノベーションを牽引する~

Charry Chu Patsnap APAC地域GTM・カスタマーサクセス シニアディレクター
Charry Chuより、急速に発展するAI技術と社会環境の変化を背景に、Patsnapのソリューションが新たなステージへ進化していることを紹介しました。講演では、AIエージェントの概念とその可能性、新たに発表された「Eureka」の全体像、さらに業界特化型AIの必要性を強調。Agentic AIの発展が知財・研究開発業務にどのような革新をもたらすかが示されました。
生成AIを活用した知財実務の現場改革
~島津製作所における生成AI導入活用事例~

阿久津 好一 株式会社島津製作所 知的財産部 部長/弁理士
島津製作所における部門の業務改革の歩みと生成AI活用の最前線が紹介されました。2019年のペーパーレス化に続き、2023年から生成AIを導入。発明届出書のブラッシュアップや先行文献調査など、実際にどのような実務でどのようなAIツールが活用されているかについての説明がありました。今後は、部員がAI出力の妥当性を判断し指示できる能力が不可欠となり、属人化から脱却した運営体制の構築が目指されているという見通しが示されました。
新AI AGENTによる知財ソリューションの強化
~知財業務に変革を起こしイノベーションを牽引する~

関崎 裕司 Patsnap 日本代表
Patsnap製品「Analytcis」の最新AI機能が紹介されました。Analytcisは知的財産に特化し、先進的データ技術やAI機能を備えた包括的な調査・分析を提供できるインテリジェンスツールであり、新たにAIによる比較表示、生成カスタムフィールド、クレームチャート、タグ付けモデルなどのAI機能も搭載されました。例えば、生成カスタムフィールドでは、従来時間がかかっていた分類作業をAIで効率化し、既存分類を拡張して最大4レベルまで追加可能。これにより、データをゼロから構築する手間を大幅に削減できます。AI機能の活用で、ユーザーは精度の高い分析と分類を迅速に実現できるようになっています。
AI機能を活用した特許検索・調査の手法

網本 淳子 日本新薬株式会社 知的財産部
日本新薬は2021年よりPatsnap製品を導入し、2023年度にはチャット型生成AIを活用開始しました。創薬プロセスにおける先行技術調査、物質特許出願、侵害予防調査などでAIが有効に活用されており、具体的な事例としてPatsnapのセマンティック検索が紹介されました。この検索技術は、キーワードの一致に依存せず、検索クエリの意味や文脈を理解して関連性の高い情報を返す点で従来型検索と一線を画します。今後は、集合基準作成の自由度向上など、さらなる改善への期待も示されました。
パネルディスカッション
AIが拓く知財・研究開発の未来

左から右:Charry Chu、網本 淳子、阿久津 好一、花崎 健一(KHネオケム株式会社 知的財産部 部長)、長澤 健一
最後のパネルディスカッションでは、パネリストの方々がAI導入の現状と実際の効果について議論しました。また、導入時に直面する課題とその解決策について具体例を交えて紹介。さらに、将来の展望やPatsnap社への期待についても意見交換が行われ、AI活用の今後の方向性や実務への応用可能性が共有されました。
閉会
Patsnap日本代表の関崎裕司氏より、Patsnapの日本事業と協力している代理店の皆様の紹介、今後の展望と参加者への感謝の言葉が述べられました。
セッション終了後には軽食と飲み物を交えた懇親会が行われ、登壇者・参加者同士で交流を深め、AI × 知財分野のネットワーキングの場となりました。
今回ご参加いただいた方からは、「AIツールの活用に向けて積極的に提言された内容で良かった」、「どのような困難があったかとその解決方法を実体験を元に分かりやすくプレゼンされていて興味深かった」といった声をいただきました。
当日会場までお越しいただいた皆様には心より御礼申し上げます。このイベントを通じて、参加者はAI技術が知財業務にもたらす革新性を体感し、今後の業務への応用や戦略立案に向けた示唆を得ることができました。
2026年のPatsnap Frontier Conferenceも開催予定です。皆様のご参加を心よりお待ちしております。